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Posted by ミリタリーブログ at

2012年10月03日

ドイツ軍兵士の小銃の持ち方

 
 本文に入る前に、まずこの記事を翻訳したものとはいえ、転載することを快く許可してくれたアメリカのリエナクトグループであるDer Erste Zug http://www.dererstezug.com/index.htm の方々、そして原文を書くために努力した方々や、翻訳に当たって協力してくれた友人たちに心から感謝したいと思います。
 これらの協力がなければ、今私達がこの資料を共有することは出来なかったと思います。

 I would like to thank Der Erste Zug for permitting to quote this article.
Without their efforts and generosity, we would not have been able to share these valuable research.

 ドイツ軍兵士の小銃の持ち方

著者: Oberfeldwebel Heinrich Lützow、 編集: Unteroffizier Jan Sabol
________________________________________

 ドイツの小銃兵(Schütze シュッツェ)は他の小銃兵や機関銃手と共に分隊(8~15人)の最小の役割の1つである。小銃兵が彼の小銃と共に一人で行動するのは稀であり、戦局を変えることを期待されてはいなかった。彼は制圧射撃をすることは出来ない。ドイツの分隊のドクトリン(原則)は機関銃を配備し、従事することがまず第一であり、よって分隊長は常にそれに集中した。すなわち小銃兵の配置はその次であり、機関銃の補助だけを目的としていたのである。ドイツ軍はボルトアクションライフルを戦争末期になるまで置き換える努力をしなかった。というのも、MG34とMG42が非常に優秀であり、小単位での戦術において重要であったため、小銃はもっとも重要でないと考えられていたからである。戦争末期になってからようやく他の小銃が姿を現したが、それでもあなたは1945年でもMP44よりも多くのKar98kを見ることになるだろう[英語の原文では「MP44の20倍のKar98kを~」]。
 もしあなたが当時の場面を見たとき、あなたは小銃がほとんど常に右手だけで持たれていて、保持している腕が伸ばされている(Trail carryと、現代の狩猟において知られているもの)のに気が付くだろう。これは小銃兵を走るのを容易にさせ、左腕を振ることを可能にさせている。これは何時間もずっと小銃を持つ兵士にとっても、楽なのである(現代のライフルの上に持ち手(M16などのキャリングハンドル)を付け加えたのも、まさにこの理由によるものである)。



 1950年代まで、すべてのドイツ人は子供の時から右利きになるように教えられ(左利きは不自然に思われた)、実際にすべてのドイツの小銃や戦闘行動、パレードの訓練から戦闘動作まで、ドイツ軍の兵士は右手(利き手)で小銃を持っていることを忘れないでほしい。



 あなたは、たとえ銃撃の中でも右手に小銃を持ち、腕を伸ばして銃の支点を保持するドイツ兵を見ることになるだろう(上の画像を参照のこと)。これによって自由な動きと素早さを得ることができる。先に述べたHinlegenの、右手を自由にするために左手に持ち代えた後の絵で誤解をしないでほしい。多くの人がその絵を見て、小銃を左手に持つものだと勘違いをするが、そうではない(それは未熟なために銃を胴の周りで振るからであり、意味をなさない)。では、基礎訓練のドイツ兵の写真を見て勉強し、若者たち(今まで火器を持ったことのない農家の者や街の男の子)が正に何を教えられたか、そして教科書のすべての記述に小銃をどのように保持するかを見ることになるだろう、すなわち右手に保持するということを!

 銃火にさらされた分隊がまず第一に取る反応は、伏せることである。これは、まず当たる見込みのない目標に向けて小銃兵に狂気じみた射撃をさせるためではない。この時、分隊の全員は分隊長が機関銃(彼はその近くにいる)に従事するまで待機する。もし、差し迫った脅威がある場合、分隊は遠慮なく射撃を始めるのだが、分隊における訓練では交戦状態になる前にFeuer Frei(フォイアー フライ:自由に撃て)の命令を待つ。
 ドイツ人はこれに厳格で、彼らは個々の小銃兵が命令なく交戦しようとはしなかった。ドイツ人は射撃開始のことをFeuereröffnung(フォイアー・エァ・エフヌング)と呼び、彼らはそれがいつ起きるのかにとても熱心だった。これについて書かれている多くのドイツの教範がある。彼らは臆病な若い兵士に射撃の最中に配置を離れてほしくなかった。行動が始まると、Feuer Freiの命令がすぐさま下されたが、一般的に彼らは命令あるまで射撃を控えるように教えられた。

 余談だが、あなたは機関銃をスリングと共に前を向けて立ったまま銃弾をばらまく準備の出来た持ち方があることに気が付くだろう。これは、前にも言ったが、機関銃の高い連射速度こそ、ドイツ人のねらっていることだからである。これは使える武器であって、小銃とは違う。同じことが前を向けてあるMP40にも言える。こう言うのは残念だが、貧弱なKar98kは遭遇戦の場合、劣った立場になるのである。

 ボルトアクションライフルは狙いを付けない射撃の為には設計されていない。ドイツ人はそれを伏せた状態からの良い狙いで撃つことを望んだ。彼らはマークスマンシップ(射手としての能力、技能)に大きな強調とプライドを置いた。そしてこれは彼らの歴史的なスポーツである狩猟[本文ではJägerとなっているが、狩猟はドイツ語ではJagdである]でも明らかである。ドイツ人は接近戦において、Hüftschussと呼ばれるスナップショットをした。これは腰から離して、銃剣を突き刺すようにして小銃を発砲することを意味している(ドイツの小銃の位置は、かつてのマスケット銃の、銃剣での殺傷が主であった時代を依然としてほのめかしている)。前進するための適切な小銃の位置を映画「スターリングラード(93年のドイツのもの)」の脱走したドイツ兵が谷間で凍りかけの難民に遭遇したシーンで完璧に見ることができる。ドイツ兵は神経質になり、本能的に彼らの小銃を銃剣を前にして腰に構えている。どのような場合でも、この態勢は開けた野原の為ではなく、ほんの一瞬で敵と遭遇する接近戦の為である。

 小銃の標準的な持ち方は、立っている場合では現代のSide CarryかElbow Carryに似ていて、小銃が右ひじと体の間、わきの下に隠れていて、左手は銃床の前の方にあり、銃は前を向いている(下の画像1を参照)。これによって素早くHüftschuss(スナップショット)に移行するか、銃剣を突き出すことができる。そして、右手が自由になり、Hinlegenになることができる。また、ドイツ人がパレードの訓練の時のように小銃を彼らの右足に並んで立てるのも見るかもしれない。また、よく見ると戦闘の合間にほこりっぽい平野に立っている間でさえ、多くの兵士が本能的に銃床の前のあたりを指をまっすぐにし、まるでパレードの時のように右手で握っている。これは彼らが訓練で叩き込まれ、無意識にしているからである(画像2を参照)。



 さてここで、私はよくリエナクター達が、戦争後期では訓練が短縮され、兵士たちが教本のように行動しないことを嘆いている、という事をたびたび耳にする。これは事実ではない。たとえ最も短縮された後期の訓練でも、5年前(1940年)と同じ教官か、彼らに教えられた者たちによって実施された。ドイツ軍は時間が無かったために突然、訓練を変えたわけではない。単に不必要なものである、教練の行進(Exerziermarsch)や行進の時のLinks umなどを除外し、訓練時間の不足のためにより簡単な訓練をしたのである。 私は戦争後期の兵卒が教本のやり方をしている写真を数多く見たことがある。既存の方法に従うというドイツの要求を過小評価してはならない。ドイツ人が戦争の終わりまでにどれくらい訓練を緩くしたかに現代の振る舞いを用いらないこと。私は、しばしば厳密な教練と詳細な戦術は戦争後期のリエナクトに必要でないと主張するリエナクター達のことはただ怠惰であると考え、わざわざ詳細に注意を向けさせることはできない。 あなたが長い間この趣味をするのなら、これらの詳細はあなたにとって重要であり、あなたは、それらを知って、練習するべきである。

 同様に、ベテランの方々の動作の詳細に注意してください、特に教練について。以下の有名な方たちは基礎訓練を受けてから長い年月が経ち、年々それはおぼろげなものになっています。私は、捧げ銃の時は小銃を鼻の正面に持ってくると主張するドイツのベテランを知っています。しかし、彼は捧げ銃の時の"Das Gewehr — über!„の命令の最初のテンポの時にミスを犯していますが、60年経った今、誰が彼を責められるでしょうか?彼は1944年に(そう、戦争末期に)担え銃の3テンポを繰り返し訓練を受け、その訓練の一部を思い出したのだ。彼は最初のテンポで小銃を彼の鼻先の中央に保持するようにと、何百回もFeldwebelの怒鳴り声とともにやり、それが彼の記憶の1つにあるのだろう。私はカナダの執銃法を20年前に習ったが、それ以来やらず、20年経ってもうその多くの詳細を忘れてしまっている。だから、ベテランの方々も同様に時間という霧に覆われているに違いないということを覚えておいてほしい。ベテランの方々は素晴らしい、魅力的な情報源であるが、私たちはドイツで1940年代にドイツ軍によって書かれた当時のマニュアルを私たちが演じようとしている本当の兵士のために持っている。私たちはこのほとんど手の付けられてない知識の宝庫を無視してはならない!当然の尊敬とともに、私は1945年の13歳のときに6週間、対空砲に配置されていたヒトラー・ユーゲントよりは、1942年にドイツ陸軍の士官とHeinz Decklerによって書かれたマニュアルを頼りたいと思う。もしあなたが1945年の戦いのリエナクトを考えているのなら、これらの詳細な知識は求められない、そこで、この趣味であなたの関与は良くても何気ないものになるであろう。これはかまわないが、あなたはおそらく国民突撃隊のリエナクトをするのが関の山となるでしょう。

原文:米国Webサイト der Erste Zugより
http://www.dererstezug.com/HandletheRifle.htm

  

Posted by ハルトマン at 02:15Comments(0)翻訳文ー命令・戦術などー

2012年08月06日

個人・部隊による敬礼

 本文に入る前に、まずこの記事を翻訳したものとはいえ、転載することを快く許可してくれたアメリカのリエナクトグループであるDer Erste Zug http://www.dererstezug.com/index.htm の方々、そして原文を書くために努力した方々や、翻訳に当たって協力してくれた友人たちに心から感謝したいと思います。
 これらの協力がなければ、今私達がこの資料を共有することは出来なかったと思います。

 I would like to thank Der Erste Zug for permitting to quote this article.
Without their efforts and generosity, we would not have been able to share these valuable research.

 今回のものは、筆者が、わかりにくい点には例などを付け加えていますが、
英語で書かれている号令をドイツ語のものにするなど以外は、原作者の意を組んでそのままにしてあります。
しかしながら、ドイツ語から英語、日本語と2回も違う言語へ翻訳されると、その意味も違ってくる場合がありますので、
以下の事柄に興味のある方は、あわせて当時の映像資料(Die deutsche Wochenschauなど)なども参照されることを強くお勧めします。
 また、最後の挨拶に関しては、音声資料の不足等から、筆者自身は違和感を覚えましたが、それを否定する材料を持ち合わせていませんでしたので、そのまま掲載させていただきます。 今後の調査で、その内容を変更させていただく場合がありますので、ご了承ください。
 少なくとも、現代においては”Heil”などと挨拶は行いません。


個人・部隊による敬礼
敬礼の義務
Der Rekrutからの引用
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 以下の、下士官兵にも適用可能であろうものは『駐屯地任務のための規則[原題:Regulations for Garrison Duty]』からの抜粋である。これは、英語に翻訳された1935年のドイツ軍の教本から引用されたものである。Der Rekrutの抜粋をこのサイトで使うことを許可して下さったMichael Bollow氏に感謝します。もし、この教本を購入したい場合は、彼のウェブサイトであるhttp://members.aol.com/soldaten/rekrut.htmへどうぞ。
 このサイトに付け加えてあるドイツ軍の敬礼の画像の例はRay, Josephine Cowdery(名前からして著者とその奥様でしょうか?)のPapers Please![直訳した邦題:許可証をお願いします!]から引用されています。この本は、第二次大戦中のドイツの事務職[書類を扱う職業のことを指す?]についてより多くを学ぶ為に素晴らしいソースです。


個人での敬礼
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制服を着た個人が以下の場合において敬礼する場合:
・総統・首相[原文では-of the Reichとありますが、ドイツの事だと分かるかと思うので省略させて頂きました。]および国防軍最高司令官
•戦争省大臣[聞き慣れない省ですが、かつては存在したそうです。]、国防軍総司令官、地方警察で同等の階級を含む、制服を着たすべての上位階級の者、また同様に制服を着た旧陸軍、旧海軍、かつての国防軍の者。
•旧陸軍およびかつてのseagoing battalionの旗・軍旗[原文で言うところの旗(banner)と軍旗(standard)の違い・訳し方、seagoing battalionが何を意味するかの2点については自分も難解な為分かりかねます。どなたかご存知の方がいましたら、コメント頂けると嬉しいです。]
•海軍の総司令官により決定された旧海軍の軍旗、地方警察の旗

 姿勢を正して着帽しており、 通りすがりか、上位階級の者に向かって立っている(もしくは座っている)場合:右手を帽子またはヘルメットへ添える[要はよく見るタイプの敬礼※1] 無帽の場合:Deutscher Gruß※2[日本語で言うところのナチ式敬礼だとか呼ばれるもの]をする。




 もし、その兵士が何か物を持っているなどの理由で敬礼ができない場合、敬礼の代わりに姿勢を正して歩いたり、座っていたり、気を付けの姿勢で立つ。座った状態での敬礼が容認されるのは、それが必要とされる状況であるか、または狭い車両の中や走行中の車両の中などのように立って敬礼が出来ない場合のみである。その他すべての場合、下位階級の者は敬礼するときに立つ必要がある。
 下士官兵はまた、かつての国防軍の一員や、旧陸軍・海軍の者を含む、礼服姿の従軍牧師のような、制服を着た国防軍の文官にも敬礼しなければならない。
敬礼は素早く、きびきびとしなければならない。敬礼は、上位階級の者の5歩前から始め、通り過ぎて2歩経ってから終える、もしくは部屋に入る時、出る時に行われる。
 酒保を含む兵舎の室内や役所、他の宿泊施設、「注目!(または、気を付け。原文のAttentionからは正確な意味が読み取れないため)」の号令を当直将校が発した場合や、将校や小隊付き(中隊付き)の軍曹が彼らの場所に来た時などに、全員が起立して「休め」の号令を言われるか、部屋を出ていくまで上位階級の者に向かい姿勢を正す。最も古参の階級の者が上位階級の者が来たことを知らせる。事務室などでは「注目」の号令はされず、また上位階級者が来たことも知らせられない。敬礼は座った状態で、上位階級者が部下に話しかけるまで行われる。
公共の交通手段や待合室、寄宿舎、ガーデンカフェ、劇場、コンサートホール、講演室(レクチャールーム)のような兵舎以外の狭い場所では、上官・部下が互いに挨拶する距離まで近づいた場合に敬礼をする。敬礼はその状況に応じて行われる。

 最初に上位階級者に気がついたものが、彼の仲間に適宜、礼儀として敬礼するように知らせる。
敬礼する前に、タバコを銜えるのをやめ、手をポケットから出すなどをする。おしゃべりをしながらや、上記のような物を手に持ちながらの敬礼は許可されていない。
 馬に乗っている時、もし任務に関する物事が妨げられないのならば、歩きながら敬礼をする。馬に乗っている上位階級者を下位階級者が追い越して行きたい場合、そうして良いかどうかを訪ねなければならない。(野戦訓練中や作戦行動中を除く)自転車を運転する人、運転手、騎手は座った状態で姿勢を正す。


個人で行われるべきではない敬礼:
a.車両が動いている状態で、自動車の運転手、または教習生に同乗している軍の運転教官による場合
b.もし交通や自身の安全を危険に晒す可能性のある場合における、自転車、自動車の運転手、騎手や自動車の乗員による場合
c.任務にあたっている部隊の兵士による場合、もしこれらの兵士が上位階級者に話しかけられた場合、彼は起立もしくは座った状態で姿勢を正す:射撃訓練、もしくは戦闘の最中、装備品を身に付けての訓練の最中など
d.駐屯地の指揮官または部隊指揮官の特定の命令の下で、乗馬用逍遙道や乗馬場にいる場合
e.乗り物に乗った伝令による場合


隊列を整えた部隊による敬礼
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隊形の部隊による敬礼は、駐屯地内または兵用宿舎内でのみ行われ、大隊の、敬礼をする(下士官と)兵の指揮の下で行われる:
•総統および首相
•戦争省大臣
•地方警察で同等の階級を含む、制服を着たすべての将校
•旧陸軍およびかつてのseagoing battalionの旗・軍旗[原文で言うところの旗(banner)と軍旗(standard)の違い・訳し方、seagoing battalionが何を意味するかの2点については自分も難解な為分かりかねます。どなたかご存知の方がいましたら、コメント頂けると嬉しいです。]
•海軍の総司令官により決定された旧海軍の軍旗、地方警察の旗

着帽した状態の隊形の部隊
 徒歩で行進中の部隊の場合、敬礼はparade-stepping※3(グースステップ)により行う。(途足[みちあし:隊形は崩さないが、歩調を合わせないこと]で行進していた場合)Im Gleichschritt, marsch![原文ではQuick step, march!:英語に訳す際に齟齬が生じたのか?]、Achtung, Augen rechts(links)![号令については別記事を参照]の号令が出され、Achtungと聞こえたら、グースステップで歩き始める。敬礼の終わりには、 Augen geradeaus, marsch!またはOhne Tritt, marsch!の号令が途足で歩く場合に出される。
 馬または車両に乗って移動中の部隊の場合、敬礼のための号令はAchtung! Augen rechts(links)!であり、Achtungが聞こえたら、座ったまま姿勢を正し、命令の通りにする。Augen rechts(links)!の号令が出されたら、車両の後席の人員は顔の向きを変え、反対側4に目を向ける。敬礼の終わりには、Augen Geradeaus! の号令が出される。
車両で行進している部隊は指揮官の合図で敬礼し、それは車両の運転手を除く全ての随伴している人員によって繰り返されることになっている。
 徒歩で止まっている部隊の場合、指揮官はAchtung! Augen rechts(links)! と号令をかける。馬上もしくは車両に乗っている部隊で止まっている場合、号令は[同じように]Achtung! Augen rechts(links)!となり、階級の高い将校を注視する。もし彼が部隊に沿って歩いていたり馬に乗っていたりする場合は、全員が彼の方を向き(頭を向け)、彼が2歩通り過ぎるまで注視し、そのあと頭と視線を正面へ向ける。もし部隊が降車している場合、Achtung!の号令が出されたら、馬または車両に1歩寄る。指揮官は所定の位置へ行く。Rührt euchの号令が出たら、敬礼をやめる。

無帽状態で隊列を整えた部隊の場合
 無帽状態で隊列を整えた部隊は着帽状態と同じように敬礼をする。しかし、この場合、もし部隊指揮官も無帽状態ならばDeutscher Grußを行う(例を挙げるならば、スポーツ用の服装をしていた場合などである)

隊列を整えた部隊にとって、以下の場合は敬礼をするべきではない:
a.持ち場以外の場所または兵舎の外
b.行進の後、Rührt euch!の号令が出された場合、または止まっている場合。兵が行進中に指揮官とすれ違う場合、各々が彼を姿勢を正して見る。歩兵は号令で銃のスリングをピンと張る。
c.作業用具を用いて土木作業中の場合。指揮官のみが敬礼または挨拶をする。
d.路上警備の場合。警備の指揮官と部下は個々人で敬礼、または挨拶をする。

 隊列を整えた部隊に敬礼されないWehrmachtの人員は、単に指揮官によって敬礼されるか挨拶される。途足[みちあし]で行進している場合(もしくは休めの場合)、各々の兵士は好きなように市民に挨拶して良い。


敬礼する義務
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以下の場合には互いに敬礼する相互義務がある:
a.Wehrmachtの人員同士の場合、規則に関わる敬礼で無い場合に限り、制服を着た地方警察やかつてのWehrmachtの者、旧陸軍、または旧海軍の者も含む。
b.Wehrmachtの人員。警官と局地的な警官(憲兵);公務中の森林管理職員と鉄道警察、DLV[Deutscher Luftsportverband:ドイツ航空協会]とRLB[Reichsluftschutzbund:国家防空連盟]、SAとその下部組織、SS、NSDFB[Nationalsozialistischer Deutscher Frontkämpferbund:鉄兜団(StahlhelmまたはBund der Frontsoldaten)の後身である国家社会主義ドイツ前線戦士連盟]、FAD[Freiwilliger Arbeitsdienst:RAD(国家労働奉仕団)の前身である団体]のメンバーおよびナチ党の政治的指導者たち

以下に対して個々人は更に敬礼する必要がある:
a.隊列を組んで行進中の警察、DLV、RLB、SAとその下部組織、SS、NSDFB、Reichstreubund、Kyffhaeuserbund退役軍人協会[この2つは詳細不明なため、情報募集中です]、FAD、ヒトラー・ユーゲント、その他の国家社会主義の政治組織の旗と旗手に対して。例外としては、SAとSSの指揮旗と、BDM(Bund Deutscher Mädel:ドイツ女子同盟)とJungvolk少年リーグの優勝旗である。
b.ドイツ国歌またはホルストヴェッセルの歌が演奏されている間。
c.記念碑に近づくか入るとき
d.葬式の時
e.上官が私服で、兵が彼[彼ら]を知っている場合


制服を着ていて、着帽した兵士の場合、普通の敬礼がかいつまんで言うと敬礼の規則である。
制服を着ていて、無帽または私服の場合、Deutscher Grußを用いる。

 階級の低い者、または新任の者が先に敬礼をする。仮に、Wehrmachtの者でない者に敬礼していても-兵士らしくキビキビと敬礼するのは、兵士たちの間での敬意の問題である。
既に論じられているが、一定の個人は敬礼の義務を免ぜられている。(例:車両の運転手、乗り物に乗っている伝令など)

自発的な敬礼
 外国の軍人が先に敬礼した場合、任意の敬礼が期待される。隊列を組んだ部隊は敬礼しない。もし敬礼が必要とされる場合は、部署の先任士官または艦の指揮官がそう命ずる。

答礼
 もし、上官が兵士の敬礼に対して”Heil”や”Guten Morgen”などと言った場合、同じ語句を用い、さらにHerr+上官の階級を付け加えて返事をする。
[例:ある少尉(Leutnant)が2等兵(Grenadier)に挨拶した場合]
Leutnant:Guten Morgen.
Grenadier:Guten Morgen, Herr Leutnant !

 上位階級の者が隊列を組んだ部隊に対して挨拶する場合、”Heil”にその部門または部隊の名前が加えられる。部隊側は”Heil”にHerr+上官の階級を添えて返事をする。戦争省大臣の場合は”Heil, Herr General !”、総統である帝国の首相の場合は”Heil, mein Führer”となる。
________________________________________
※1  44年7月20日に試みられたヒトラー暗殺以後、軍の敬礼は変えられた。伝統的な”軍の敬礼”である、手を帽子のつばまたはヘルメットの淵に当てるものは以後禁止された。 Deutscher Grußまたはナチ党式の敬礼をWehrmachtの公式な敬礼とするよう命令された。 多くの兵士がDeutscher Grußを馬鹿馬鹿しく、非現実的なものと考えた。ある退役軍人が言うには、この新しい命令の後、「飯盒を右手に持って、”党への忠誠”を示すのを強いられるのを妨害するという行為は、中隊の中でも珍しいものではなかった。」そうである。
※2 "Deutscher Gruß ”:ドイツ語でのナチ式敬礼のこと。たとえこれが公式な規則であったとしても、政治的な問題からリエナクターはこの敬礼をしないことをお勧めします。
※3 "Parade-stepping" (Exerziermarsch) : ドイツ語でグースステップのこと。
※4 反対側: 外見上、車両の後部座席に座っている者は逆の方向を向いているということ。


原文:米国のWebサイト Der Erste Zug
http://www.dererstezug.com/salutes.htm

  

Posted by ハルトマン at 19:48Comments(1)翻訳文ー命令・戦術などー

2011年12月23日

分隊の散開隊形

 本文に入る前に、まずこの記事を翻訳したものとはいえ、転載することを快く許可してくれたアメリカのリエナクトグループであるDer Erste Zug http://www.dererstezug.com/index.htm の方々、そして原文を書くために努力した方々や、翻訳に当たって協力してくれた友人たちに心から感謝したいと思います。
 これらの協力がなければ、今私達がこの資料を共有することは出来なかったと思います。
 I would like to thank Der Erste Zug for permitting to quote this article.
Without their efforts and generosity, we would not have been able to share these valuable research.


以下のものはDie neue Feldpostとその出版者の許可を得たものです。彼の寛容さとこのページに貢献してくれたすべての方に感謝します。彼らの努力により、私たちはこの貴重な研究を共有することができます。
 この記事は1941年版の"Ausbildungsvorschrift für die Infanterie.(歩兵の為の養成規定)"の段落246~266から抜粋されたものである。この詳細にわたるコピーには1943年6月22日と注釈が付いていた。
 散開の命令は敵が撃ってきた時や、地形の関係、戦術的な状況など、密集隊形が実用的でない場合に適用された。散開隊形には基本的なものが2つある。

Die Schützenreihe[ディ シュッツェン・ライエ]:1列縦隊
Die Schützenkette[ディ シュッツェン・ケッテ]:1列横隊
 どのような分隊もどちらかの隊形になることがあり、分隊を団結させる。


 Schützenreiheは接近の際に用いられた(イラストAを参照)。これはまた、MGを単独で射撃し、そして常に地形によって利用可能なすべての遮蔽物を用いる機会に適している。
 この隊列になる場合、分隊はSchütze1である機関銃手Anschlußman[適切な訳不明、直訳では接続の人]を基準にする。この隊列の間隔はAbstandと呼ばれ、Schritt(歩、ステップ)を考慮している。



         黒丸=部隊長
         1=機銃手、2・3=MGの補助
         白丸=小銃兵
         半分の丸=副官

 もし、間隔が指定されてないときは、5歩と仮定する。分隊の副官(Stellvertretende Gruppenführer シュテル・フェアトレーテンデ グルッペンフューラー)は列の最後尾に居て、誰も後ろに残されていないかを確認する。




 Schützenketteは全部隊を射撃するのを容易にするための位置に就かせる[イラストBを参照]。分隊はこの隊形に合図かGanze Gruppe…Stellung!(ガンツェ グルッペ シュテルング)の命令でなる。別の命令で基本的に同じ意味を持つのはSchützenketteである。後者が分隊を横隊にするのに用いられるのは稀で、部隊が配置に就いていくときに時々用いられた。前者の命令は差し迫った銃撃戦を意味し、また命令が実行される時、分隊が止まることを意味している。



 この隊列になるとき、分隊はAnschlußmanを基準にし、前半分の小銃兵は右に、後ろ半分の者は左に展開する。全体の配置する方向を特に指示される場合もある。MGの周りに集中することは禁じられている。ここでの間隔はZwischenraum(ツヴィッシェン・ラオム)と呼ばれ、これもSchritt(歩、ステップ)を考慮している。Schützenreiheでは何も命じられなければ5歩と仮定した。部隊による前線での展開であるSchützenketteでは、短い動作に制限される。というのも、この隊形における長い動作は地形によって移動を難しくし、分隊の団結を損なうからである。
一般的に、敵や地形、隣からの情報の伝達などの会話を除き、散開隊形の時は話をしない。分隊長には散開隊形の時に特定の位置は無い。たいていは彼の指揮する分隊のすぐ前方にいるが、偵察するために遠くに移動する場合もある。 戦闘中、彼は分隊の中心に居る。特定の方向や目標が指示されてない場合は、Anschlußmanは分隊長に続く。



散開隊形の例
 
・前進の時、分隊長は疑わしい(敵の居る可能性のある)林のかどに分隊を1列縦隊で進ませたい場合。
 Richtung Waldecke Schützenreihe!
(リヒトゥング ヴァルト・エッケ シュッツェン・ライエ!:方向 林のかど 1列縦隊!) 部下は隊形になり、5歩の間隔を考慮する。

・分隊は生垣の方に向けて急いで1列横隊に10歩の間隔でなる必要があるとき。
  Richtung Baumreihe! 10 Schritt Zwischenraum! Schützenkette! Marsch! Marsch!
 (リヒトゥング バオム・ライヘ! 10(ツェーン)シュリット ツヴィッシェン・ラオム シュッツェン・ケッテ!マルシュ!マルシュ!:方向 生垣! 10歩の間隔! 1列横隊! 行け!行け!)

・分隊が小道の近くで休憩中に以下の命令が下された
Auf dem Weg in Schützenreihe! 2 Schritt Abstand Folgen! Marsch!
(アウフ デム ヴェグ イン シュッツェンライエ! 2(ツヴァイ)シュリット アプシュタントゥ フォルゲン! マルシュ!:道に1列縦隊! 2歩の間隔で続け! 行け!)
分隊は休憩を止め、分隊長に2歩の間隔をあけて続く。

・別の分隊が植林地の近くの野原で休憩中に命令された
Zum Besezten der Baumgruppe dort vor uns ! Ganze Gruppe Stellung !Marsch !
(ツム ベゼッツテン デア バオムグルッペ ドルト フォァ ウンス! ガンツェ グルッペ シュテルング! マルシュ!:我々の前方の森を制圧する! 全部隊 位置に! 行け!)
この分隊は森の中に移動し、そこを占領するために1列横隊になる。

・静止している分隊を1列縦隊にし、移動させるために、分隊長は命令する。
Front wie ich stehe! Abstand 8 Schritt! Schützenreihe!
(フロント ヴィー イッヒ シュテーエ! アプシュタント 8(アハト)シュリット シュッツェン・ライエ!:私が立っているところを前に! 間隔は8歩! 1列縦隊!)
兵たちは指揮官の位置を始点にして8歩の間隔をあけて列を作る。

・静止している分隊を別の目的(違う隊列や、動作など)の準備のために、森の淵に沿って横隊にさせるとき、分隊長は命令する。
Auf dieser Waldgrenze! Schützenkette!
(アウフ ディーザー ヴァルト・グレンツェ!シュッツェン・ケッテ!:森の淵に! 1列横隊!)


動作 

 すべての兵は移動の前に彼らの銃が安全か、弾薬ポーチや弾薬箱が閉まっているかなどを確認する責任がある。散開隊形はMarschの命令で始まる(急ぐ場合はMarsch!Marsch!)。短い横への移動も命じられることがある。後方への移動はKehrt Marsch!と命じられ、Halt! Kehrt!で終わりとなる。指揮官はこれらの動作の間、隊形の敵側に残る。

 前記の動作はHalt! Hinlegen! Volle Deckung!またはStellung!によって止められることがある。Haltでは、兵たちはGewehr abの態勢で立ち止まる。Hinlegenの場合はその場に伏せる。Volle Deckungではそれぞれ遮蔽物を探す。Stellungでは分隊にSchützenketteの隊形になるように命ずる。


集合
 
 分隊は縦隊の形で分隊長の後ろに集まる(Schützenreiheではない)。もし、小隊全部に集合が命じられた場合、分隊は行進隊形になる。集合の命令はSammeln(ザメルン)である。



 これらのものは、Der Erste Zugの方々から許可を頂いて転載させていただいています。
自分の翻訳は非常に稚拙なため、英語が少しでも出来る方は原文のものを読んでみることをオススメします。
自分の訳では伝わらないことも、英語のものではニュアンスなどから読み取れることもあるかと思います。
また[ ]の中は自分がおそらく理解しやすくなるだろう、ということで付け加えたものです。
この記事に関して、分からないことや、意味が分からないことがありましたら、コメントして頂けたら、自分のような若輩者でも答えられるものには答えていきたいと思っています。




原文:米国のWebサイト der Erste Zug
http://www.dererstezug.com/SquadFormationsInOpenOrder.htm

  

Posted by ハルトマン at 22:49Comments(0)翻訳文ー命令・戦術などー

2011年10月06日

ドイツ軍の号令・伏せろ

 本文に入る前に、まずこの記事を翻訳したものとはいえ、転載することを快く許可してくれたアメリカのリエナクトグループであるDer Erste Zug http://www.dererstezug.com/index.htm の方々、そして原文を書くために努力した方々や、翻訳に当たって協力してくれた友人たちに心から感謝したいと思います。
 これらの協力がなければ、今私達がこの資料を共有することは出来なかったと思います。
 I would like to thank Der Erste Zug for permitting to quote this article.
Without their efforts and generosity, we would not have been able to share these valuable research.



Hinlegen!
   (ヒン・レーゲン!またはヒン・リーゲンに聞こえることも):伏せろ!

 兵士は左足をだいたい1歩前に出し、右足で膝をつく。同時に、小銃を左手で持ち(右手から持ち代える)、銃口をいくぶんか上げる(大体45°くらい)。前かがみになり、前の地面に平らに、左ひざ、次に右手、そして左ひじ、と、体を支えながら倒れる。







 これら全ての動作は素早くする。(右ひざ、左ひざ、右手、左ひじという順番を忘れずに!)銃のストック(銃床)の前と後ろのバレルバンドは左腕の前あたりに置く。(メモ:兵士は右手で銃を支えている。)銃身は左外側へ向ける。銃口とボルト部分はどんな状況でも地面に触れさせない。頭は上げ、視線は前を向き、兵士は力を抜いている。

よくある間違い
1. 小銃が左手で持たれていない、もしくは銃床の支点にある。
2. 伏せるときの正しい手順は:右ひざ、左ひざ・・・に従っていない。
前に向かって伏せない。
3. 小銃がねじれたり、曲がって左手の上にあるか、銃床が極端に体から離れている。
4. 頭が上がっておらず、前を見ずに地面を見ている。



Auf!(アウフ!またはアオフ!と聞こえることも):立て!
 兵士は左手を銃の支点に置き、銃口をわずかに持ち上げる。体を右手で支え、同時に右脚を前に、お腹にできるだけ近づけるように動かす。これは体を地面から持ち上げずに行われる。そして兵士は、右手で体を持ち上げ、左足を前に、右足を後ろに出す。同時に、小銃を右手でつかみ、立て銃の態勢になる。





 これらのものは、Der Erste Zugの方々から許可を頂いて転載させていただいています。
自分の翻訳は非常に稚拙なため、英語が少しでも出来る方は原文のものを読んでみることをオススメします。
自分の訳では伝わらないことも、英語のものではニュアンスなどから読み取れることもあるかと思います。
また[ ]の中は自分がおそらく理解しやすくなるだろう、ということで付け加えたものです。
この記事に関して、分からないことや、意味が分からないことがありましたら、コメントして頂けたら、自分のような若輩者でも答えられるものには答えていきたいと思っています。


原文:米国のWebサイト Der Erste Zug
http://www.dererstezug.com/hinlegen.htm

  

Posted by ハルトマン at 23:02Comments(2)翻訳文ー命令・戦術などー

2011年10月06日

ドイツ軍の号令・銃器関連

 本文に入る前に、まずこの記事を翻訳したものとはいえ、転載することを快く許可してくれたアメリカのリエナクトグループであるDer Erste Zug http://www.dererstezug.com/index.htm の方々、そして原文を書くために努力した方々や、翻訳に当たって協力してくれた友人たちに心から感謝したいと思います。
 これらの協力がなければ、今私達がこの資料を共有することは出来なかったと思います。
 I would like to thank Der Erste Zug for permitting to quote this article.
Without their efforts and generosity, we would not have been able to share these valuable research.


Gewehr ab(ゲヴェーァ・アプ):立て銃
 Angetretenと命令されたとき、常にこの態勢で気をつけ(かかとを合わせ、つま先は90°よりわずかに狭くあける)の状態で立つ。銃器(小銃)はバットプレート[肩を当てる部分]を地面に付け、右側に右足の隣に。バットプレートの下の部分は右足のつま先と並べること。右手の指は伸ばし、合わせ、銃のバレルバンドを関節が前に面するように握ること。ひじはわずかに脇から離す。左手は気を付けの状態にすること。




メモ:その他の火器を持つ者は以下のようにすること
1. 短機関銃/突撃銃 Gewehr Umhangenの状態に(右肩に銃をかけておく)
2. 機関銃 機関銃手の右側に2脚を使って地面に置くこと
3. 迫撃砲 迫撃砲分隊の最後の隊員の正面に置くこと
4. パンツァーファウスト/-シュレック 射手の右側に銃口を前に向けて置くこと
5. 弾薬箱 弾薬手の右側に蓋のあけ口を前にして置くか、機関銃の銃口の所に置くこと


Das Gewehr über(ダス・ゲヴェーァ・ユーバー):担え銃 
 ドイツ軍は小銃をその他の国の軍隊とは違い、右肩ではなく左肩に担う。Gewehr abの状態から、銃を右手がアゴのちょうど下あたりに来るように体の正面に持ってくる、左手は右手のちょうど下を持つようにする。銃はだいたい脚から胸の上着のボタンの線にある。銃のボルトは兵士の右に面し、銃の左側が体に向く。左肩に銃を移すのには、右手を銃のボルトの位置まで落とし、銃を90°回すと同時に左手をストック(銃床)の下に動かし、左肩に銃を上げる。トリガーガードはわきのあたりにくる。ちゃんと銃を左肩に置いたら、バットプレートを上着のベルトの下あたりに来るように引き、左のひじはわずかに体から離す。銃はだいたい垂直に体とあるようにする。銃が位置についたら、右手は素早く右側にし、気を付けの姿勢のままにする。








メモ:この命令の時、小銃以外の銃器は以下のようにすること
1. 機関銃 左肩にグリップが胸の位置に来るようにし、左手でバットプレートを小銃の場合と同じように支える。





2. その他の銃器や弾薬箱はそのままの状態であること。




Achtung! Präsentiert Das Gewehr!
         (アハトゥング プレゼンティーアト ダス ゲヴェーァ):捧げ銃
 
 この命令は兵士が銃を左肩に担いでいる時のみに与えられる。命令の時、右手の指を伸ばし、合わせ、ストック(銃床)の上端部(下の左端の図を参考に)へ持っていき、同時にバットプレートを左手で90°時計回りに回転させる。これで銃の右側が体とは反対の方に、左側は体の方に向くようになる。銃をもう一度90°ストックに置いた右手で回し、同時にバットプレートを持っていた左手を離す。離した左手は銃の左側に沿って上に上げていき、ストックのリアサイトの下にあたる部分を握る。左手は伸ばし合わせ、関節が外に向くようにし、親指が上を向くようにする。右手は素直に伸ばし、合わせた4本の指は単にトリガーガードの下に、親指は離し、体に近づいているボルトの下に。銃は左胸のポケットと並行して、トリガーガードは体と反対を向いている。先の方のバレルバンドは左目と同じ高さにあるはずである。






Das Gewehr über(ダス・ゲヴェーァ ユーバー):担え銃 (捧げ銃の状態から戻す) 
 捧げ銃の後、兵士は担え銃を命じられる。これは捧げ銃とは逆に近い動作をする。左手を離し、バットプレートまで戻すのと同時に銃を180°逆時計回りに回転させる。右手はそのままの位置に。バットプレートにある左手と、ガイドのようになる右手で銃を左肩に担う。銃が位置に戻ったら、右手を気を付けの状態に素早く戻す。


Das Gewehr ab(ダス・ゲヴェーァ アプ):立て銃 (担え銃から立て銃への移行) 
 この命令は担え銃の状態で与えられる。これは兵士に銃を左肩からストックのみを地面へ置かせるものである。命令の時、左手を下げると同時に、銃を右に回転させ、バレルバンドの部分を右手で握る。そして、バットプレートにある左手を離すと同時に右側へ右手が地面と平行になる位置に銃を振る。最後に銃のバットプレートを右足のつま先の隣の地面に置く。






Gewehr umhängen(ゲヴェーァ・ウムヘンゲン):吊れ銃 
 この命令は銃器が立て銃の時のみに与えられる。命令の時、スリングを緩め、右肩にかける。右手はスリングを右胸のポケットの位置で親指をスリングと服の間に入れて保持する。ひじは体の方に引く。







メモ:命令の時、小銃以外の銃器は以下のようにすること
1.機関銃 右肩にスリングでかけ、銃口は上に、バイポッドはたたむ。
2.迫撃砲 兵士の右側に、ベースプレートを保持する。





 これらのものは、Der Erste Zugの方々から許可を頂いて転載させていただいています。
自分の翻訳は非常に稚拙なため、英語が少しでも出来る方は原文のものを読んでみることをオススメします。
自分の訳では伝わらないことも、英語のものではニュアンスなどから読み取れることもあるかと思います。
また[ ]の中は自分がおそらく理解しやすくなるだろう、ということで付け加えたものです。
この記事に関して、分からないことや、意味が分からないことがありましたら、コメントして頂けたら、自分のような若輩者でも答えられるものには答えていきたいと思っています。




原文:米国のWebサイト Der Erste Zug
http://www.dererstezug.com/RifleDrill.htm

  

Posted by ハルトマン at 00:50Comments(0)翻訳文ー命令・戦術などー

2011年09月26日

ドイツ軍の号令

 本文に入る前に、まずこの記事を翻訳したものとはいえ、転載することを快く許可してくれたアメリカのリエナクトグループであるDer Erste Zug http://www.dererstezug.com/index.htm の方々、そして原文を書くために努力した方々や、翻訳に当たって協力してくれた友人たちに心から感謝したいと思います。
 これらの協力がなければ、今私達がこの資料を共有することは出来なかったと思います。
 I would like to thank Der Erste Zug for permitting to quote this article.
Without their efforts and generosity, we would not have been able to share these valuable research.

Antreten(アン・トレーテン):整列 
これは本質的には命令ではない。この用語はむしろ、「整列の状態」を指す。ひとつの例として、くだけた感じに「よし、みんな外へ出て整列(antreten)だ」またドイツ語で言うなら"Jedermann, antreten drausen in fünf Minuten!"(みんな、外に5分以内に整列だ!)というように用いる。また正式な命令はAngetreten(アンゲトレーテン)と言い、その前に隊列の型が要る(つまり、"Gruppe! In Linie zu einem Gliede -- Angetreten!" 分隊、一列に--整列!)しかし、antretenと言われたとき、"Rührt Euch"(休め)の態勢でいるのは正しいことである。例えば、毎朝7時の点呼の時、中隊長を待つ間、兵士たちは何気なく外に整列するだろう。

Stillgestanden(シュティル・ゲシュタンデン):気をつけ 
直立不動で、かかとを合わせ、つま先は45°よりわずかに狭めに開き、手と手のひらは太ももの上部に対して水平に、ひじは少し体から離し、目は正面に。この命令の身振りは最初の音節である"Still"に、足は終わりの音節である"stand"に合わせる。

 "Stillgestanden"の時の隊列の例として、隊列の右にいるGruppenführer(分隊長)の横にまっすぐに並ぶ。第1分隊は第2分隊と一直線でなく、第2分隊は第1分隊の真後ろに並ぶ。
  
※Gruppenführer=分隊長
Schützen=兵士
1.Gruppe=第1分隊
2.Gruppe=第2分隊

Angetreten(アン・ゲ・トレーテン):整列 
分隊にとって、この命令は以下のようになる。
・"Gruppe -- In linie zu einem Gliede -- Angetreten!"
(分隊--1列(横)に--整列!)
横1列に整列する。



・"Gruppe -- In linie zu zwei Gliedern -- Angetreten!"
 (分隊--2列(横)に--整列!)
 横2列に整列する。



・"Gruppe -- In Reihe -- Angetreten!"
 (分隊--1列に--整列!)
縦1列に整列する。



・"Gruppe -- In Doppelreihe -- Angetreten!"
 (分隊--2列に--整列!)
縦2列に整列する。



・"Gruppe -- In Marschkolonne -- Angetreten!"
 (分隊--行進の隊列に--整列!)
 3列の縦隊に整列する。




 Angetretenの場合、兵士たちはStillgestandenの状態で立っている。[Stillgestandenの説明は省略する。]


Richt euch(リヒト・オイヒ):列を正す(前ならえのようなもの) 
気をつけの時、素早く頭を右に向け、Flügelmann(列の端の人)を目標に列を正す(すり足のような感じで)。
Flügelmannは右端の先頭の人で頭は動かさない。(もし、彼の後ろに人がいたら、彼もしくは彼らもまた頭を動かさずにいる。)
 もし、Zugführer (小隊長)がこれを命じたら、Gruppenführer(分隊長)だけがFlügelmannになったであろう。事情が変われば、右端の先頭の者がなった。

※Tuchfühlung (衣服が触れ合うくらいの距離)
Zwischenraum(スペース)



 正しい位置に移動する時、Tuchfühlungとして知られている、衣服のひじが本当にわずかに右の人の衣服のひじに触れるくらいの状態にする。近くの人を押しやらないようにすること。腕を動かしたり、手を挙げたり、こぶしを握らないこと。1940年のドイツ軍の訓練法には右手を挙げる方法は用いられていない。(挙げるのは戦後のものである。)
 Flügelmannに列を合わせたら、気を付けの姿勢にし、視線は右に向けたままにする。2列目、3列目の者たちも最前列、右端の人に視線を向け、列を正し、"Augen -- Geradeaus!"(正面を向け!)の命令まで待つ。
[戦後の連邦軍のものであるが、参考までに]
http://www.youtube.com/watch?v=spfpZ_QulRQ&NR=1

Augen—Geradeaus(アオゲン・ゲラーデアオス):正面を向く 
視線を右に向けた状態から、素早く正面を向く。(Richt euchを参照)

Rührt euch(リュート・オイヒ):休め 
脚を肩幅くらいに動かし、左足をわずかに右足より前に出し、重心を右足にかけ、腕を垂れて手は楽にする。話せるのは許可が与えられた時だけである。


Rechts um(レヒツ・ウム):右を向く 
右足のかかとを軸にして回転し、対して左足はその膨らんだ部分[かかと以外の意味?]で回る。向きを変えたら、左足を右足の隣に、気を付けの状態に持ってくる。回って左足を前に持ってくる間に区切りを入れてはならず、1動作として行うこと。


Links um(リンクス・ウム):左を向く 
上記のものとは逆に、左足のかかとを軸に回転し、対して右足はその膨らんだ部分で回る。向きを変えたら、右足を左足の隣に、気を付けの状態に持ってくる。回って右足を前に持ってくる間に区切りを入れてはならず、1動作として行うこと。


Kehrt um(ケールト・ウム):後ろを向く 
この命令は個人の兵士のみに対してである。訓練か、Ehrenwach(エーレン・ヴァッハ:儀仗隊)のような小さな隊列などに使われる。分隊から中隊などの隊列に対しては"Ganze Abteilung -- Kehrt!"(ガンツェ・アプタイルング ケールト:全部隊 後ろを向け)の命令を代わりに用いる。
 命令されたとき、左回りで左足を軸に右足の膨らんだ部分と共に180度(真後ろに)回転する。向きを変えたら右足を左足の隣に、気を付けの状態に持ってくる。(基本的には左を向くのと同じだが、真後ろに向く。)


Wegtreten(ヴェク・トレーテン):解散 
砕けた感じ[フォーマルでない]のAntretenに対応する、命令ではない。公式な命令であるWeggetreten(ヴェク・ゲトレーテン)と混同しないように。
 パレードの隊列に対して、公式な命令であるWeggetretenは次のように用いる。
 "Gruppe -- Nach links -- Weggetreten!"(分隊 左へ 解散!)これは左への方向転換と、3歩のステップで構成され、その後に隊列を解散する。この命令は他にも"Nach rechts"(右へ)か"Nach rückwärts"(後ろへ)などが伴うことが求められる。そして、小銃が"Gewehr ab"の状態で用いられ、 "Gewehr über"の状態では決して行われない。

Augen Rechts(アオゲン・レヒツ):頭右 
この命令では、頭と目線を右に体は動かさずに向ける。この態勢を前を向けという命令があるまで保持すること
 もし、観閲のために目を右へ動かす場合は、命令は"Zur Meldung -- Augen -- Rechts!(報道に向けて(?) 頭 右!)"となり、全員がFlügelmannも含め、目線を右へ向ける。観閲将校が近づいてきた時、それぞれはその将校に彼が通り間、顔を向け続ける。将校がそれぞれのちょうど正面にいるとき、将校がもう5歩進むのを数え、そして前を向く。これは観閲の時のみである。他の状況では、"Augen -- Rechts"の態勢は"Augen – Geradeaus(視線を正面に)"の命令が与えられるまで保たれる。
[参考動画2:17あたりから観閲の例が見られます。]
http://www.youtube.com/watch?v=_gQn8xeP_K4

Augen Links(アオゲン・リンクス):頭左 
左を向くことを除いて、上記のAugen Rechtsと同じである。

Marsch(マルシュ!もしくはマァシュとも):行進 
この命令は以下の2つのうちのどちらかのようにすることが求められる。
"Gruppe -- Im Gleichschritt -- Marsch!"(分隊 同じ歩調[足並みをそろえて]で 行進!)
"Gruppe -- Ohne Tritt -- Marsch"(分隊 歩調無し[足並みを揃えずに]で 行進!)
 分隊レベルでは、Reihe(縦1列)かDoppelreihe(縦2列)の時はたいてい歩調無しであり、Marschkolonne(行進の隊列)の時はたいてい歩調ありである。
命令の時、兵士は左足から行進を始める。手は平らに伸ばし、ベルトバックルまで振り上げ、その後自然に振り降ろすということに気を付けること。ドイツの行進の歩幅は長く、80cmで、1分間に114歩のリズムである。Abstand(前後の間隔)も同じく80cmである。








Ohne Tritt Marsch(オーネ・トリット マルシュ):歩調無しの行進 
2つあるうちの1つの行進の形なので、上記のMarsch!,に含まれている。この命令はその環境で行進の歩調が出来ない場合に用いられる。

Im Laufschritt Marsch(イム・ラウフ・シュリット マルシュ):駆け足で進む 
2倍のスピードで進む。

Halt! (ハルト):止まれ 
Haltは常に右足の時に命令される。そして常にもう1歩左足を右足を止まる位置に持ってくる前に進める。



Rechts um(レヒツ・ウム):右へ 
この命令は、行進中に用いられ、曲がる方向の足の時に用いられる。(例えば、右へ曲がるとき、Rechtsの命令は右足を出した時に与えられる。)数歩のステップ(主に3~5歩だが、もっと多い場合もある)が、実行の命令が進む方向の足と共に与えられる前にとられ、その命令(um)のあと、もう一歩が以下の絵に示したように曲がる前にとられる。



Links um(リンクス・ウム):左へ 
上記のものを参照のこと。



 これらのものは、Der Erste Zugの方々から許可を頂いて転載させていただいています。
自分の翻訳は非常に稚拙なため、英語が少しでも出来る方は原文のものを読んでみることをオススメします。
自分の訳では伝わらないことも、英語のものではニュアンスなどから読み取れることもあるかと思います。
また[ ]の中は自分がおそらく理解しやすくなるだろう、ということで付け加えたものです。
この記事に関して、分からないことや、意味が分からないことがありましたら、コメントして頂けたら、自分のような若輩者でも答えられるものには答えていきたいと思っています。

原文:米国のWebサイト Der Erste Zug

http://www.dererstezug.com/SchooloftheSoldier.htm


  

Posted by ハルトマン at 20:51Comments(7)翻訳文ー命令・戦術などー