2011年12月23日

分隊の散開隊形

 本文に入る前に、まずこの記事を翻訳したものとはいえ、転載することを快く許可してくれたアメリカのリエナクトグループであるDer Erste Zug http://www.dererstezug.com/index.htm の方々、そして原文を書くために努力した方々や、翻訳に当たって協力してくれた友人たちに心から感謝したいと思います。
 これらの協力がなければ、今私達がこの資料を共有することは出来なかったと思います。
 I would like to thank Der Erste Zug for permitting to quote this article.
Without their efforts and generosity, we would not have been able to share these valuable research.


以下のものはDie neue Feldpostとその出版者の許可を得たものです。彼の寛容さとこのページに貢献してくれたすべての方に感謝します。彼らの努力により、私たちはこの貴重な研究を共有することができます。
 この記事は1941年版の"Ausbildungsvorschrift für die Infanterie.(歩兵の為の養成規定)"の段落246~266から抜粋されたものである。この詳細にわたるコピーには1943年6月22日と注釈が付いていた。
 散開の命令は敵が撃ってきた時や、地形の関係、戦術的な状況など、密集隊形が実用的でない場合に適用された。散開隊形には基本的なものが2つある。

Die Schützenreihe[ディ シュッツェン・ライエ]:1列縦隊
Die Schützenkette[ディ シュッツェン・ケッテ]:1列横隊
 どのような分隊もどちらかの隊形になることがあり、分隊を団結させる。


 Schützenreiheは接近の際に用いられた(イラストAを参照)。これはまた、MGを単独で射撃し、そして常に地形によって利用可能なすべての遮蔽物を用いる機会に適している。
 この隊列になる場合、分隊はSchütze1である機関銃手Anschlußman[適切な訳不明、直訳では接続の人]を基準にする。この隊列の間隔はAbstandと呼ばれ、Schritt(歩、ステップ)を考慮している。

分隊の散開隊形

         黒丸=部隊長
         1=機銃手、2・3=MGの補助
         白丸=小銃兵
         半分の丸=副官

 もし、間隔が指定されてないときは、5歩と仮定する。分隊の副官(Stellvertretende Gruppenführer シュテル・フェアトレーテンデ グルッペンフューラー)は列の最後尾に居て、誰も後ろに残されていないかを確認する。




 Schützenketteは全部隊を射撃するのを容易にするための位置に就かせる[イラストBを参照]。分隊はこの隊形に合図かGanze Gruppe…Stellung!(ガンツェ グルッペ シュテルング)の命令でなる。別の命令で基本的に同じ意味を持つのはSchützenketteである。後者が分隊を横隊にするのに用いられるのは稀で、部隊が配置に就いていくときに時々用いられた。前者の命令は差し迫った銃撃戦を意味し、また命令が実行される時、分隊が止まることを意味している。

分隊の散開隊形

 この隊列になるとき、分隊はAnschlußmanを基準にし、前半分の小銃兵は右に、後ろ半分の者は左に展開する。全体の配置する方向を特に指示される場合もある。MGの周りに集中することは禁じられている。ここでの間隔はZwischenraum(ツヴィッシェン・ラオム)と呼ばれ、これもSchritt(歩、ステップ)を考慮している。Schützenreiheでは何も命じられなければ5歩と仮定した。部隊による前線での展開であるSchützenketteでは、短い動作に制限される。というのも、この隊形における長い動作は地形によって移動を難しくし、分隊の団結を損なうからである。
一般的に、敵や地形、隣からの情報の伝達などの会話を除き、散開隊形の時は話をしない。分隊長には散開隊形の時に特定の位置は無い。たいていは彼の指揮する分隊のすぐ前方にいるが、偵察するために遠くに移動する場合もある。 戦闘中、彼は分隊の中心に居る。特定の方向や目標が指示されてない場合は、Anschlußmanは分隊長に続く。



散開隊形の例
 
・前進の時、分隊長は疑わしい(敵の居る可能性のある)林のかどに分隊を1列縦隊で進ませたい場合。
 Richtung Waldecke Schützenreihe!
(リヒトゥング ヴァルト・エッケ シュッツェン・ライエ!:方向 林のかど 1列縦隊!) 部下は隊形になり、5歩の間隔を考慮する。

・分隊は生垣の方に向けて急いで1列横隊に10歩の間隔でなる必要があるとき。
  Richtung Baumreihe! 10 Schritt Zwischenraum! Schützenkette! Marsch! Marsch!
 (リヒトゥング バオム・ライヘ! 10(ツェーン)シュリット ツヴィッシェン・ラオム シュッツェン・ケッテ!マルシュ!マルシュ!:方向 生垣! 10歩の間隔! 1列横隊! 行け!行け!)

・分隊が小道の近くで休憩中に以下の命令が下された
Auf dem Weg in Schützenreihe! 2 Schritt Abstand Folgen! Marsch!
(アウフ デム ヴェグ イン シュッツェンライエ! 2(ツヴァイ)シュリット アプシュタントゥ フォルゲン! マルシュ!:道に1列縦隊! 2歩の間隔で続け! 行け!)
分隊は休憩を止め、分隊長に2歩の間隔をあけて続く。

・別の分隊が植林地の近くの野原で休憩中に命令された
Zum Besezten der Baumgruppe dort vor uns ! Ganze Gruppe Stellung !Marsch !
(ツム ベゼッツテン デア バオムグルッペ ドルト フォァ ウンス! ガンツェ グルッペ シュテルング! マルシュ!:我々の前方の森を制圧する! 全部隊 位置に! 行け!)
この分隊は森の中に移動し、そこを占領するために1列横隊になる。

・静止している分隊を1列縦隊にし、移動させるために、分隊長は命令する。
Front wie ich stehe! Abstand 8 Schritt! Schützenreihe!
(フロント ヴィー イッヒ シュテーエ! アプシュタント 8(アハト)シュリット シュッツェン・ライエ!:私が立っているところを前に! 間隔は8歩! 1列縦隊!)
兵たちは指揮官の位置を始点にして8歩の間隔をあけて列を作る。

・静止している分隊を別の目的(違う隊列や、動作など)の準備のために、森の淵に沿って横隊にさせるとき、分隊長は命令する。
Auf dieser Waldgrenze! Schützenkette!
(アウフ ディーザー ヴァルト・グレンツェ!シュッツェン・ケッテ!:森の淵に! 1列横隊!)


動作 

 すべての兵は移動の前に彼らの銃が安全か、弾薬ポーチや弾薬箱が閉まっているかなどを確認する責任がある。散開隊形はMarschの命令で始まる(急ぐ場合はMarsch!Marsch!)。短い横への移動も命じられることがある。後方への移動はKehrt Marsch!と命じられ、Halt! Kehrt!で終わりとなる。指揮官はこれらの動作の間、隊形の敵側に残る。

 前記の動作はHalt! Hinlegen! Volle Deckung!またはStellung!によって止められることがある。Haltでは、兵たちはGewehr abの態勢で立ち止まる。Hinlegenの場合はその場に伏せる。Volle Deckungではそれぞれ遮蔽物を探す。Stellungでは分隊にSchützenketteの隊形になるように命ずる。


集合
 
 分隊は縦隊の形で分隊長の後ろに集まる(Schützenreiheではない)。もし、小隊全部に集合が命じられた場合、分隊は行進隊形になる。集合の命令はSammeln(ザメルン)である。



 これらのものは、Der Erste Zugの方々から許可を頂いて転載させていただいています。
自分の翻訳は非常に稚拙なため、英語が少しでも出来る方は原文のものを読んでみることをオススメします。
自分の訳では伝わらないことも、英語のものではニュアンスなどから読み取れることもあるかと思います。
また[ ]の中は自分がおそらく理解しやすくなるだろう、ということで付け加えたものです。
この記事に関して、分からないことや、意味が分からないことがありましたら、コメントして頂けたら、自分のような若輩者でも答えられるものには答えていきたいと思っています。




原文:米国のWebサイト der Erste Zug
http://www.dererstezug.com/SquadFormationsInOpenOrder.htm




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